令和5年大町市議会12月定例会が行われ、市民バスや地域交通計画に関する一般質問が中心となる中、特に西澤和保議員の質問が注目を集めた。
市民バス運行の現状について、西澤議員は過去の利用状況との比較を求めた。総務部長の和田泰典氏は、本年度9月末時点での利用者は3万3,691人で、前年同時期より約7%の増加を報告した。この背景には新たな停留所の設置や運行ダイヤの見直しがあるとした。今後の地域交通計画に関しても、同議員は実証実験や市民の声の反映を強調した。これに対し、和田氏は計画の策定が進行中であることを述べ、市民ニーズに基づいた運行の再構築を目指していると説明した。
次に、医師の働き方改革に関する質疑に対し、病院事業管理者の藤本圭作氏は、医師の勤務状況の把握を進めていると報告した。2024年度から新たな働き方改革が施行され、医師の労働時間の上限が規定されることに対して、現行の業務分担の見直しやサポート体制の強化に取り組むと述べた。
また、大町市公園の長寿命化対策についての質問では、小澤悟議員が施設の老朽化と市民ニーズの関連を指摘した。部長の古平隆一氏は、既存施設の維持管理を徹底し、将来的にはさらに市民の声に応えるパークの改修に努めると回答した。さらにインクルーシブデザインの導入も、時代に合った施設整備の一環として検討されていることが強調された。
国民健康保険に関する議論では、宮田一男議員が保険税の負担の大きさを指摘。民生部長の川上晴夫氏は制度上の問題から、独自の減免制度の創設が困難であることを説明した。国保税が高額な理由には、加入者が多い制度特性が関与しているとし、今後の施策に対する市民理解を求めた。
最後に、上下水道の民間委託についての質問があり、やはり公務における民間委託には慎重な対応が求められるとの見解が示された。市長も、業務委託に伴い職員との連携が不可欠であるとの認識を示し、いかに市民サービスを維持するかが今後の課題であると述べた。
今回の定例会では、市民の生活支援の質を高めるための具体的な施策案や、それに対する市の姿勢が改めて問われる中で、各議員からの多様な視点が際立った。