令和5年6月の定例会では、重要な議題が扱われ、市民の生活に直結する問題が次々と浮き彫りになった。
その中でも特に、多くの関心を集めたのは、加齢性難聴者への補聴器購入補助制度の創設についてである。一般質問に登壇した公明党の大野みどり議員は、高齢者の社会参加を促進し、認知症予防にも寄与する補聴器の重要性を強調。市の執行部からは、昨年度実施したニーズ調査の進捗や助成制度の創設に向け、その内容について説明が求められた。荒槇由美福祉部長は、令和6年度からの制度運用開始を目指し、専門家との協議を進めていることを明かした。
次に、投票率向上に向けた議論がなされた。最近の市議会議員選挙は44.18%と、過去最低の投票率を記録したことに対する危機感が共有された。市民の政治関心を高め、より多くの市民に投票に係わってもらうため、出前授業や情報発信の強化が提案された。さらに、期日前投票所の促進策として、若年層向けの啓発活動の充実が議題に挙がり、今後の取組に期待が寄せられた。
不登校児童の支援についても熱心に議論された。最近の状況を受け、保護者への支援が重要との意見が交わされた。教育センターでは、通級学習の場を提供し、保護者との連携強化を図っていることが報告された。これに加え、各学校での意思決定が重要であり、生徒一人一人の特性に応じた対応の重要性が再確認された。
一方、熱中症対策についても市側の取組が報告された。十分な認知度向上が求められている中、高齢者へのエアコン整備の促進や水分補給の重要性がアピールされた。特にエアコン使用をためらう高齢者世帯への具体的なサポートが求められる。
孤独・孤立対策推進法に基づく新たな取組に関しても、市は地域づくりに関与し、孤独・孤立の問題に取り組む方針を示した。見守り訪問や情報提供の活動が充実し、社会全体で支える体制が求められていることが強調された。
最後に、自衛隊への情報提供について、市が住民基本台帳から実施している名簿の提供が話題に上った。市民プライバシーの観点から議論が交わされ、個別通知の件についても慎重な意見が表明された。
以上のように、令和5年6月定例会は、市民の生活を守るための重要な施策が議論され、今後の取組に期待が寄せられた。特に、補聴器購入補助制度や投票率向上策など、市民の声を反映させた施策に向けた議論が進むことが望まれる。