令和元年12月17日に実施された常陸大宮市議会の定例会では、台風19号による影響とそれに伴う市の支援策について多くの議員から質問が寄せられた。特に被災者支援、避難所運営、地域の防災活動への意識向上などが主要な話題となった。
災害救助法による住宅応急修理制度の適用状況について、相澤建設部長は、今後159件の申請があり、そのうち完了報告が96件であることを説明した。この制度によって、住宅の応急修理費用に対する助成が行われ、その適用範囲が広がっているとのことで、特に被災者が既に費用を支払った場合の取り扱いについて、柔軟に対応する必要性が指摘された。
また、市は避難情報の発令や避難所開設についても触れ、12日の避難準備情報から始まり、最終的には660人が避難所に避難したと報告したが、住民自身が自発的に避難行動をとらなかった点に課題が残ったと述べた。今後は、住民の避難を促す普及活動に力を入れる必要がある。
地域防災においては、住宅の応急修理だけでなく、災害時の避難や支援に対する意識の醸成が重要視された。特に、地域の消防団や区長を巻き込み、総合的な防災対策を立てる必要がある。
加えて、中小企業への支援も議題に上がり、台風19号による被害を受けた事業者に対する補助金制度について説明がなされた。約95の事業所が被害を受け、約14億円の損害が推測される中、国や県が実施する事業が紹介され、支援事務所と連携をとりながら迅速にサポートを行う姿勢が示された。
健康増進事業については、胃がん検診やインターネットを利用した予約システムの結果が報告され、特に胃内視鏡検診の受診者数が増加傾向にあることが示された。さらに、液体ミルクの備蓄啓発についても取り上げられ、妊産婦や乳幼児世帯に対する支援が重要視されていることが改めて確認された。
今後は、災害の教訓を生かし、地域の防災意識を高めるための取り組みを強化することが求められている。特に、ナッジ理論を用いた行動促進の方法や、住民同士のコミュニケーションを通じて、避難行動の重要性を認識させる手法についても検討が望まれる。