令和5年3月三田市議会定例会(第370回)が開会した。
この定例会では、さまざまな議案が市長から提案される中、特に令和5年度の当初予算案が注目されている。市長の森哲男氏は、予算案の背景として、コロナ禍や物価高騰など、厳しい経済環境に対処する必要性を強調した。
令和5年度の歳入は、前年を上回る見込みであり、特に法人市民税の増加が期待されている。一方で、個人市民税は生産年齢人口の減少が影響し、減収を見込んでいる。森市長はまた、財政調整基金を利用し、今年度も健全な財政運営を維持する意向を示した。
市長はさらに、令和5年度の市政運営の方針について、混沌とした経済状況下でも「未来への責任感」を持って取り組む姿勢を明言した。具体的な目標として、「人口減少にも負けない元気なまちを創る」とし、SDGsの推進や地域資源の活用を通じた地域振興策を挙げ、成長戦略に取り組む姿勢を示した。
また、地域医療体制の整備と、充実した子育て・教育環境の確立に向けた施策も強調された。特に、三田市民病院の新統合病院設立に向けた基本計画を策定中であることを市長は述べ、議会への協力を呼びかけた。これに加え、地域で支え合う温もりのあるコミュニティ作りの重要性も強調し、地域福祉計画に基づく取り組みを進める意向を示した。
さらに、森市長は若者の移住促進策に力点を置き、三田での就労機会拡充として「若者のまちづくり交流センター」の設置を提案した。このセンターは、若者が地域に根付くための支援を目的としており、次代の人材育成に寄与することを期待されている。地域活性化を図るための新たな産業集積地の創出にも取り組むとし、企業や大学との協力の下、地域の経済を活性化するための施策を進めていく考えを示した。
今後、議会は3月28日までの会期中、各議案の審議を行う予定であり、特に予算案に関する質疑が注目を集めることが期待される。市民にとって、身近な問題として関心の高い地域医療や教育環境の整備が進むことも期待されている。