令和5年6月9日、阿久比町議会の定例会が開かれ、様々な議題が協議された。特に、ふるさと納税制度については、その影響が徐々に大きくなっていることが議論の中心であり、議員からは「応益負担」の原則とその現状についての意見が相次いだ。
ふるさと納税は、自らが住む自治体以外に納税が可能な制度だが、阿久比町では税収が他の自治体に流出し続け、住民サービスの質が低下する危機にあるとの指摘があった。この制度により、町民の納税の一部が他の自治体に渡るため、町の住民へのサービス提供が困難になることが懸念されている。具体的には、令和3年度において6,573万円にも及ぶ損失が生じており、同額があれば多くの住民サービスが可能とされる。
さらに、総務部長の大久保英俊氏は、「ふるさと納税の返礼品開発やポータルサイトの拡大を図り、町にとって魅力的な政策の一環として活動を進めることが重要である」と述べ、町民の理解を深める必要性を訴えた。また、関連団体や商工会との連携によって、地域経済の活性化にも寄与させるべきだと強調した。
次に、中学生の不登校問題について討議された。この問題は全国的にも増加傾向にあり、阿久比町でも例外ではない。教育部長の中川学君は、不登校に関しては教育現場だけでなく、生活環境や心理面などの複合的要因が関与していることを認識していると述べた。今後は地域資源を生かし、医療機関と連携して支援を強化する計画も示唆された。
スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによる支援体制が整い、実際の相談件数は年々増加しているものの、数の不足が課題だとの意見もあり、この点についても更なる人材の確保が求められている。